クジラ漁(2001.9.4) *写真をクリックすると拡大されます。
第二十八大勝丸
午後4時40分、一隻のキャッチャーボートがたくさんの漁業関係者、噂を聞きつけてやってきた市民の見守る中、網走港にえい航しました。
網走市の三好捕鯨(三好英志社長)と宮城県牡鹿町の日本近海が協同で操業している第二十八大勝丸です。
陸揚げ
船からクジラを降ろし、ウインチで港に引き揚げます。12トンもの巨体を引き揚げるのには、やはり機械の力を使います。 昔は全て人力だったので、多くの人手が必要だったはすです。そのころは今よりもっと活気に満ちて、クジラ一頭で町がお祭り騒ぎだったことでしょう。 現在でもクジラ漁は地元の秋の風物詩。毎年この光景を楽しみに待っている方もいるようです。
解体作業
その手触りはゴム長靴のようで、弾力があり不思議な感触でした。 陸に揚げられるとまず体長などの測定を行います。その後、板の間でできた解体場へと運びます。
くじら漁について考えること
現在のくじら漁はIWC(国際捕鯨委員会)の規制外の小型沿岸捕鯨として、かろうじて漁が行われています。ツチクジラは本来捕鯨の対象ではありませんでしたが、ミンククジラが捕れなくなってから、細々と定められた枠内での操業を行っています。 オホーツク海沿岸のクジラは小振りで、かつて食していたミンククジラよりも味も劣るため、当初ツチクジラは一般に定着しませんでした。そのため生計を立てるのには不十分な面もあります。 各地クジラ漁の関係者は、ミンククジラ漁を再開することを目標としていますが、海外だけでなく、国内においても捕鯨反対の声はあります。捕獲の仕方等が残酷であるとか、知能が高い生き物なのでかわいそうであるといった事や、科学的に個体数を確保できるかどうか証明されていないといった意見があります。 しかし、ミンククジラは現在南極海だけでも76万頭生息しており、この数値から、年間2000頭捕獲しても影響はないと言われています。このままクジラだけを保護することは、逆に生態系を破壊するのでは?という意見もあります。また、IWCでも小型沿岸捕鯨地域の困窮は認識されているものの、ミンククジラの捕鯨は未だ許可されません。 捕鯨を生業としてきた地域にとっては、捕鯨という伝統が消えることは、経済的損失だけではなく、その地域の文化的慣習までも奪ってしまう大きな出来事です。細々と、それでもくじら漁を続けているのは、そんな理由もあるからなのです。